実際のカプセル内視鏡検査の手順を概略します。
検査前の準備は従来の上部消化管内視鏡検査とほぼ同じです。
検査を受ける方は前日の夜から8時間ないし12時間絶食します。
検査当日、腹部に8個のセンサーを貼り付け、専用ベルトにデータレコーダーと体外バッテリーをセットします。
機器の動作を確認してから、カプセル内視鏡本体を適量の水とともに飲み込みます。
カプセル内視鏡を飲み込んだ2時間後には水分摂取が、4時間後には軽い食事も可能となります。
強い磁気にさらされたり、激しい運動をしたりさえしなければ、自由に行動でき仕事をすることも可能です。
つまり検査中も通常の日常生活が行えるということです。
従来の24時間心電図検査に近い印象です。
カプセル内視鏡本体は、作動開始後毎秒2枚の写真を撮影し、1回の検査あたりの撮影枚数は、50,000~55,000 枚になります。
カプセル内の発信器から送信された画像データは、腰に装着したデータレコーダーにすべて保存されます。
カプセル内視鏡を飲み込んだ8時間後にセンサーなどの機器をはずし、撮影された画像データをデータレコーダーからworkstation に転送します。
5万枚以上の静止画像を診断するために、個々の画像は連続したビデオ画像として表示され、医師によって解析されます。
ワークステーション上では最大毎秒40コマの早送りが可能であり、経験に応じて解析のスピードを調整できます。
異常が疑われた部分では停止したり、コマ送りあるいはコマ戻しを行ったりして病変を確認することができます。それらの病変は、サムネイル画像として保存し、所見やコメントを記入することができます。
なおカプセル内視鏡本体はディスポーザブルであり、排便とともに体外に排出されます。
カプセル内視鏡検査は、鎮痙剤や鎮静剤を必要としません。
腸液が貯留したままの消化管内腔を、蠕動運動に伴って進んでいくため、生理的な状態で撮影が行えます。またほとんど体に負担のない検査なので、繰り返し行うこともできます。
カプセル内視鏡の画像は8倍の拡大画像であり、小腸の絨毛の構造をかなり明瞭に確認することができます。なおカプセル内視鏡は腸管内を前向きに進んでゆくように、重心が前方、つまりレンズ側に位置していますが、検査中後ろ向きに進む場合も少なくありません。
その場合でも撮影された画像の診断に支障はありません。